(12)遺言書は書いた方がよいのか?

遺言書は、書いておいた方がよいのでしょうか?どういうときに必要なのでしょうか?

 

 この問題については、遺言書の存在意義を理解したうえで、個別の事情(相続人関係や財産状況など)を把握し、その方にとって必要かどうかを判断することになります。
 つまり、個別的な状況によって、回答は異なってきます。

 

 一般的に、遺言の必要性が高いとされるケースはあります。ですが、そういったケースに該当しないなら遺言は書かなくていい、といったものでもありませんので、まずは遺言書の存在意義(遺言を書くことのメリット)を整理しておきます。ここを押さえておくと、遺言書は書くべきか、を考える道筋ができてきます。

 

 ※遺言と相続は、密接な関係にあります。遺言には相続の知識が重要ですので、こちらの情報をどうぞご参考ください。

 

 

遺言書の存在意義(メリット)

 亡くなった人の財産について、だれが受け継ぐ権利を有するのか(法定相続人)、どれだけの配分で受け継ぐのか(法定相続分)は民法で定められており、これを法定相続といいます。そして法定相続は、被相続人(亡くなった人)の死亡によって、当然に開始されます。

 

 遺言は、この法定相続を遺言者の意思によって変更し、相続財産の処分(配分)を遺言者の自由な意思で決定します。

 

※また、遺言では、相続人以外の人にも、財産を配分することができ、これを遺贈(いぞう)といいます。通常であれば、法定相続人以外の人は相続人になることはあり得ませんので、被相続人から相続財産を受け取ることはできません。しかし、遺言であれば、遺贈をすることにより、法定相続人以外の人にも、相続財産を分けることができるのです。

 

 つまり、遺言は、法定相続に優先します。

 

 そして、遺言があれば、原則として相続人による遺産分割協議を必要としません。遺言書が法の要件を満たし、内容に不明な点や不足がない場合は、原則として遺言者の意思通りに相続財産は分割されます。

 

 これが、遺言の存在意義(メリット)です。

 

 法定相続は、「相続人はみな平等」という法の趣旨により、画一的に定められています。実際には、各家庭の事情はそれぞれあるでしょうし、また、お世話になった方へ財産を分けたい場合もあるでしょう。画一的な平等は、実質的に公平であるとは限りません。

 

 遺言があれば、その方のご家庭の事情にあった財産の配分ができ、残されたご家族へのメッセージ(付言)を遺すこともできますから、自分の最後の意思を伝えて、財産をめぐる紛争を未然に防ぐことも期待できるでしょう。

 

 自由に相続財産を分けられる、とか、財産をめぐる紛争を未然に防ぐ、とういう点は、よくお聞きになることかもしれませんので、もうひとつ。
 遺言があれば、相続人で遺産分割協議をする必要がありませんから、遺言は、単に財産の配分を決めるだけでなく、家族の相続手続の負担を減らすなど、残される家族への心遣いでもあります

 

 

 遺言は、多額の相続財産があるから書く(あまり財産がないから書かなくてもいい)といったものではなく、紛争防止のために書くというだけのものでもなく、これらは遺言の一側面でしかありません。

 

 遺言は、人の最後の意思表示であり、そこに紡ぐのは、その人のこれまでと、のこされたご家族のこれからへの想いです。

 

 遺言は、人としての尊厳であり、非常にセンシティブで奥深く、民法は、その遺志を最優先に尊重しています。遺言の必要性が高いとされる方はもちろん、本来的にはすべての方が遺言の制度を利用できればと思います。

 

 遺言や相続に関することは、書籍やインターネットなどでお調べになった方も多くいらっしゃると思います。ただ、書籍やインターネットの記事は一方通行の情報ですから、本当にその方にあった情報とは限りません。また、素朴な疑問に逐一答えてくれるものではありません。個別の事情をシッカリとお聞きし、親身に寄り添って話のできる「相談相手」をお探しになられるのはいかがでしょうか?
 遺言をお考えの方、ちょっと話を聞いてみたいなという方は、どうぞお気軽にご相談いただければと思います。