(9)公正証書遺言とは?(メリット、デメリット)

公正証書遺言は、遺言者が公証人に依頼して公証人が作成する遺言書です。
 具体的には、公証役場で、証人2人の立会のもと、公証人が読み上げる遺言書の内容を遺言者が確認して、内容に間違いなければ、遺言者と公証人と証人がそれぞれ署名・押印して作成します。
 公正証書遺言の「原本」は公証役場に保管され、「正本」と「謄本」が遺言者に交付されます。

 

【メリット】
  • 公証人が本人の意思で作成されたことを公証するため、信憑性が高く、遺言の内容が確実に実現される可能性が高いです。
  • 法律の専門家である公証人が作成するので、法的要件を欠くなどして無効になる確率が極めて低く、複雑な内容を書くことができます。
  • 遺言者は、遺言の内容を確認して署名・押印すればよい(自筆するのは氏名だけ)ので、負担が少なく、多くの内容を書くことができます。
  • 原本が公証役場に保管されるため、未発見のおそれが少なく、偽造や変造、隠匿や破棄の心配がありません。
  • 一定の場合、入院先や自宅での作成も可能であり、字が書けない人でも作成できます。

 

【デメリット】
  • 遺言の内容が公証人と証人に知られることになります。

 

 

公正証書遺言書の公証人手数料について

公正証書遺言を作成するときは、公証人への手数料が必要です。手数料は、遺言の目的となる財産の価額に対応する形で、法令で決められています。

 

手数料の算出方法

(1) 相続人(受遺者)ごとに、遺言の目的となる財産の価額を算出し、その価額を下の表に当てはめて、手数料を算出します。
(2) (1)で算出した相続人(受遺者)ごとの手数料を合計します。
(3) 遺言の目的となる財産の合計額(財産全体の金額)が、1億円以下のときは、(2)の合計額に1万1000円を加算します。
(4) 遺言で祭祀の主宰者を指定する場合は、さらに1万1000円を加算します。

 

財産の価額

手数料

(※公証人へ支払う手数料)

100万円まで 5000円
200万円まで 7000円
500万円まで 1万1000円
1000万円まで 1万7000円
3000万円まで 2万3000円
5000万円まで 2万9000円
1億円まで 4万3000円

1億円を超える部分について
 1億円を超え3億円まで

5000万円ごとに1万3000円加算

1億円を超える部分について
 3億円を超え10億円まで

5000万円ごとに1万1000円加算

1億円を超える部分について
 10億円を超える部分

5000万円ごとに8000円加算

※その他、遺言書の正本や謄本の交付手数料などが必要となります。
※病気や高齢などで公証人に自宅や老人ホーム等に出張してもらう場合は、日当や交通費が必要となり、また上記の手数料が50%加算されます。

 

 

(計算例)
 総額3000万円の財産を、配偶者に2000万円、子2人にそれぞれ500万円ずつ相続させる公正証書遺言の場合の計算
 ・配偶者の分(2000万円)の手数料=23,000円
 ・子の分(500万円×2人)の手数料=11,000円×2人=22,000円
 ・遺言加算=11,000円
 ・合計=56,000円 
(他、遺言書の正本や謄本の交付手数料等で1,000円程度)

 

公正証書遺言の証人について

公正証書遺言を作成するには、作成当日に証人2人の立会いが必要となります。
 証人は、遺言者本人に間違いがないこと、自身の意思に基づいて遺言をしたこと、公証役場で公に作成されたことを確認するために必要とされています。

 

 証人は、第三者的な立場の人である必要があります。

 

証人になることができない人

・未成年者
・推定相続人、受遺者及びその配偶者並びに直系血族
・公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び雇人

 

 直接的な利害関係にある推定相続人(遺言者が亡くなったら相続人の立場になる人)や、受遺者(遺言により財産を貰う立場の人)だけでなく、その配偶者や直系血族(いわば身内)も証人となることができません。

 

 適当な証人が見当たらない場合には、公証役場で手配もしてもらえます。また、当事務所では、当事務所の行政書士が証人になったり、他の士業専門家をご紹介させていただきます。専門家には守秘義務が課せられていますのでどうぞご安心ください。
(証人手配には証人への謝礼金(1万円程度)が必要となります。)