(1)そもそも遺言とは?

「遺言」とは、一生涯をかけて築いた自分の財産を、死後はどのように活用(配分)するのか、その意思表示を「遺言書」という書類に記載しておき、自身の死後にその内容を実現させる制度です。

 

 本来、意思表示は自分自身で行わなければなりませんが、亡くなった後はもはや意思表示ができません。そこで、生前にした意思表示を、死後、特別に効力を持たせる法律上の制度が設けられており、これが「遺言」です。

 

 「遺言」は法律上の制度です。ですから、「遺言書」は、法律に定められた方式によって作成しなければ効果がありません(無効)ので、作成には注意が必要です。

 

エンディングノートと遺言書の違いは?

 エンディングノートは、人が人生の終末期を迎えたときや、もしものことがあったときに備えて、家族や親しい友人などに伝えたいことをまとめておくノートのことであり、遺言書ではありません。
 エンディングノートに書く内容については特に決まりがなく、人によって内容は様々ですが、一般的には、家族や親しい友人に対するメッセージ、財産(現金や預金など)や大切な書類の保管場所などの情報、葬儀や供養に関する自身の希望、自分史や家系図、などを書き留めます。
 エンディングノートは、方式や書き方にとらわれず、自由に書くことができますが、法的な効力はなく、自分の希望を家族などに伝えたり、必要な情報を提供することで家族の負担を減らすことを目的としています。エンディングノートに遺産分割の方法などを書いても、法的効力は有しませんので、正式な遺言書を添えておく必要があります。

 

遺書は遺言書か?

 「遺書」も遺言書にはあたりません。
 「遺書」は、今から自身が亡くなることを前提にして、自分の思いを書くものです。無念さであったり、自身の潔白であったり内容はさまざまですが、いずれも遺言書の内容とはなりません。