(6)遺言書を書いた後は?財産は使えなくなる?

遺言書を書いた後のことを考えてみましょう。

 

 「この財産は遺言書に書いたから、もう使えない。」「もし使ってしまったら無効になるのでは?」と不安に思われることがあるかもしれません。

 

 この問題については、遺言書はいつ効力が発生するのか、を考えてみましょう。

 

 遺言は、遺言書を書いた時から効力が生じるわけではありません。遺言者が亡くなられたときから効力が発生します。したがって、遺言書を書いたからといって、その財産を使えなくなることはありません。

 

 では、実際に、遺言書に書いた財産を生前に使ってしまい、減少した場合はどうなるのでしょう?相続が発生したときに、遺言書に書かれている財産がなかった場合は、どうなるのでしょう?

 

 この場合は、減少した部分やなくなってしまった部分については、遺言者が「撤回した」ものとみなされます。遺言書全体が無効になるわけではなく、その部分の遺言はなかったものとして取り扱われます。

 

 だいぶん極端な例ですが、例えば、長男に家と土地、次男にA銀行の預金(遺言書作成時の残高100万円)とB銀行の預金(遺言書作成時残高1500万円)を相続させる、としていて、その預金が相続時にはA銀行の100万円しか存在しないときは、B銀行の1500万円は撤回されたものとされ、次男はA銀行の100万円だけを相続することになります。

 

 財産の内容が大きく変わっているのに放置すると、せっかく書いた遺言書がトラブルの原因となり紛争が生じてしまうこともありえますので、定期的に見直しをすることは必要だと思われます。