自筆証書遺言は検認が必要、とか、公正証書遺言は検認が不要、とか、これは何をいっているのでしょうか?
遺言書の検認とは、遺言書の存在とその内容を各相続人に知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など、検認をする日現在における遺言書の現状を確認し、証拠を保全する、家庭裁判所の手続のことです。
自筆証書遺言(保管制度利用の場合を除く)や秘密証書遺言など、公正証書遺言ではない遺言書の場合は、法律上この検認手続(証拠保全手続)が必要とされていますから、検認手続をしなければ、遺言の執行(不動産名義変更や銀行口座名義変更などの相続手続)を進めることができません。
※検認は、あくまで証拠保全の手続であり、遺言書が有効か無効かを判断する手続ではありませんから、検認をしたからといって遺言書の有効が確定するわけではありません。
保管制度を利用している自筆証書遺言書を除き、公正証書遺言ではない遺言書の保管者や、これを発見した相続人は、遺言者の死亡を知ったあと、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して「検認」を請求しなければなりません。
「検認」は、遺言書の現状を確認し、検認の日以後、変造、破棄されないようにする証拠保全の手続ですから、検認の日(期日といいます)に、申立をした人と各相続人が出席し、遺言書の内容を確認することになります。
(1) 遺言書(保管制度利用自筆証書遺言書と公正証書遺言書を除く)を発見
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(2) 法定相続人を調査しそれを証明する戸籍謄本をそろえる
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(3) 家庭裁判所へ検認を申立てる
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(4) 家庭裁判所が、申立人とすべての相続人に、検認に期日を通知
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(5) 検認期日(申立人と相続人の立会いのもと、家庭裁判所で遺言書を開封、確認)
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(6) 家庭裁判所が、遺言の形状など確認の内容に関する検認調書を作成
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(7) 家庭裁判所に、検認済みの証明書を発行してもらう
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(8) 遺言を執行する
公正証書遺言書であれば、検認は不要です。
公正証書遺言書が検認手続をする必要がないのは、公証役場が遺言書の原本を保管し、遺言書の内容を公証するので、偽造や変造のおそれがないからです。
遺言は自身の最終意思の表示ですが、意思表示をすることが目的ではなく、最終的な目的は、その内容が実行されることにあります。
公正証書遺言であれば、信憑性が高いうえに検認の手続が必要なく、相続開始とともに、すぐに相続手続を進めることができます。これが公正証書遺言が一般的におすすめとされる所以です。