民法は、財産を引き継ぐ権利はだれにあるかということを定め(法定相続人)、また、それぞれが相続する割合も定めており、これを「法定相続分」といいます。
ただし、この「法定相続分」は、平等にこのように分けるのがよい、として民法が定める一応の割合であり、必ずこの法定相続分で相続しなければならないわけではありません。
これはどういうことでしょう?必ずしも法定相続分で相続する必要がないなら、なぜ法定されているのでしょうか?
これを考えるには、法定相続分の規定だけにとらわれず、民法がどのように相続分を決めるよう設計されているか、を見ていきます。
まず第一に、相続分(実際にどれだけ相続するか)は、被相続人が遺言によって指定することができます。人は自分の財産を自由に処分することができ、遺言は、生前自由に処分できた自分の財産を死後に処分すること、ですから、遺言でどのように処分(配分)するかも、原則として自由です。ですから、まず第一に、遺言によって相続分を決めることができるとされています。
第二に、遺言による相続分の指定がないときは、(遺言で分割が禁止されていない限り)相続人全員で遺産分割協議をして、自由に配分を決めて最終的に各相続人の相続財産を確定します。
第三に、遺言による指定がなく、遺産分割協議をしない(していない)ときやできないときは、法定相続分が適用されます。
つまり、遺言や遺産分割協議による実際の相続分がまだ決まっていないときや決まらないときは、法律に定められた法定相続分で共有、ということになります。
民法では、「相続財産の行方」は、まず第一に被相続人本人に委ねられ(遺言)、遺言の指定がなければ相続人全員の協議(遺産分割協議)に委ねられ、特に取り決めがないときや決まらない(まだ決まっていない)ときは法定相続分を適用する、とされているのです。
ただ、法律で一定割合を定めておくことにより、遺言を考えるときや、遺産分割協議をするときに「どのように分けるのがよいのか」という一般的な目安として法定相続分は機能します。
ですから、法律で定められてはいるものの、必ずしも法定相続分で相続しなければならないわけではありません。
以下、法定相続分を記載いたしますのでご参考ください。
法定相続人 | 法定相続分 |
---|---|
配偶者のみ | すべて配偶者 |
配偶者 |
配偶者1/2 |
配偶者 |
配偶者2/3 |
配偶者 |
配偶者3/4 |
備 考 |
子、直系尊属、兄弟姉妹がそれぞれ2人以上いるときは、その人数で均等割します。 |
※「だれが相続人になるのか」はこちらのページをご参考ください。