国・県・市町村などの公共機関から公共工事を直接受注する(公共工事の元請になる)ためには、入札に参加しなくてはなりません。そのためにはどのような手続きが必要でしょうか?
公共工事の入札に参加するためには、建設業の許可を取得し、経営事項審査(通称「経審」)を受審することが必要です。さらに、経営事項審査の結果通知書を添付して、入札に参加したい発注機関(国・県・市町村など)へ入札参加資格の申請を行います。この入札参加資格の申請が受理されて、はじめて公共工事の入札に参加する資格を得ることになります。
1.建設業の許可を取得(許可業者であることが前提)
↓
2.経営事項審査を受審(客観点)(P点(総合評定値))
↓
3.入札参加資格の申請(主観点)
↓
4.入札参加資格を取得(格付)
入札参加資格取得までには手続に時間がかかります。また、入札参加資格申請の受付は定期的にされており、随時の受付は各公共機関により実施時期が異なります(定期のみの場合もあります)ので、計画的に準備をする必要があります。
経営事項審査とは、公共工事を直接請け負おうとする建設業者が、その経営についての客観的な事項について受けなければならない審査のことです。この審査は、建設業者の事業活動を「経営状況・経営規模・技術力・社会性等」の観点から客観的に評価して評点を算出するものです。
経営事項審査の点数は、「P点(総合評定値)」(客観点)とよばれます。
経営事項審査は、次の2つの審査に分かれており、申請先(審査機関)も異なります。
1.経営状況分析(Y点)
審査機関は、国土交通大臣の登録を受けた登録経営状況分析機関です。
建設業許可業者の経営状況(財務諸表)を審査し、Y点を算出します。
2.経営規模等評価(XZW点)
審査機関は、許可権者(国又は都道府県)です。
建設業許可業者の完成工事高などの経営規模や技術力の項目、労働福祉の状況などの社会性等の項目を審査し、X点、Z点、W点を算出します。
P点(総合評定値)は、このときに算出申請しますので、まず1.経営状況分析を受審し、次に2.経営規模等評価を受審するながれとなります。
P点(総合評定値)
=0.20(Y点)+0.25(X1点)+0.15(X2点)+0.25(Z点)+0.15(W点)
項目 | 審査項目 | ウエイト | 審査機関 | ||
---|---|---|---|---|---|
経営事項審査 P点 (総合評定値) |
1.経営状況分析(Y点) |
純支払利息比率 |
0.20 |
登録経営状況 |
|
2.経営規模等評価 | 経営規模(X点) |
完成工事高(X1) |
0.25 |
許可権者 (国) (都道府県) |
|
技術力(Z点) |
技術職員数 |
0.25 | |||
社会性等(W点) |
労働福祉の状況 |
0.15 |
※審査項目等簡略して表にしています。
経営事項審査では、申請日の直前の決算日を基準として、その時点における各項目について評価を行います。この日を審査基準日とよびます。
経営事項審査の有効期間は、「審査基準日(決算日)から1年7ヶ月」と決められています。(※結果通知の日付からではありません。) 有効期限が切れると、公共工事の契約を締結することができませんから、これは決算日から1年7ヶ月以内に申請すればよい、のではなく、1年7ヶ月以内に(1)経営状況分析(Y点)と(2)経営規模等評価(XZW点)の審査がいずれも完了していなければならないことを意味しています。
(例)令和1年12月31日を審査基準日として受審した場合
・令和2年12月31日(決算日)
・令和3年4月30日までに決算変更届(決算報告)を提出すること
・令和3年7月31日までに経営事項審査が完了していること
※完了=経営事項審査の結果通知が発行されていること
・審査対象の建設業が1業種の場合は11,000円
・審査対象の業種が1業種増すごとに2,500円
※経営状況分析の手数料は別途、各登録経営状況分析機関の設定価格によります。
※これらの手数料は、法令等で定められた審査手数料ですので、専門家に依頼しても、ご自身で申請をされても必要となります。
経営事項審査で算出されたP点(総合評定値)は、全国一律の客観的な基準によるものです。国・県・市町村などの公共工事発注機関は、経営事項審査の結果を基に、独自に入札参加資格の審査を行っています。
入札参加資格の審査では、地域性等を考慮した評点を算出します。(「主観点」とよばれます。)
経営事項審査のP点(総合評定値)と、各公共工事発注機関による主観点が合算され、入札時のランク分け(格付)がされることになります。
※入札参加資格の申請の方法や受付期間、主観点については、各発注機関ごとに異なりますので、個別に確認する必要があります。